Toshinobu Kubota / Timeless Fly

久保田利伸、通算12枚目(米盤・ベスト含まず)のオリジナルアルバム。リラックスしたナンバーが満載。本当の意味で日本でR&Bを初めてやりはじめた男の進化は、とてつもない域に達していました。
ここまで出来るひとは、日本では久保田以外まずいないでしょう。声とか楽曲とか、そんな細かなことに視点をあててU.S.R&Bと比べてどうだと語る次元はとうに過ぎています。
久保田利伸はデビュー当時から「オリジナリティ」を大切にしてきました。ソウルを模倣するだけではいけないと。本人も理解してたんでないかな。どうせ日本人、声は追いつかないんだから。
ニューヨークに行って、細かなFMのジャンル分けにも唖然。あえてR&Bに挑戦しても、「大変だよ」とアメリカンに窘められる。向こうはラジオが生活に密着してるからね。取り上げられて貰わないと、販拡には結びつかない。
でも、やりたいことを貫いてきた。Raphael SaadiqAngie Stone達と自然にコラボでき、小さなギグで鍛えられ、ジャパニーズR&Bを極める。
当初から日本での日本語によるナンバーは、歌い続けてきた母国語をR&B、ファンクのリズムに自然と融合される。それがもうホントに自然体で。ワン&オンリーなひとだったな。

まずはSoul Mate~君がいるから~を聴いて欲しい。リフレインするストリングス、柔らかなリズムを刻むカッティングギター、揺らめくフェンダーローズ、豊潤でレイドバックされたサウンドは今の久保田にベストマッチだ。もう何度も何度も聴きたくなる。
元々、80’sファンクやスティービーに通じるモータウン系の音が得意とされてきた久保田だが、なんと嬉しいことにニュージャック!のキワモノAl B Sure!をネタでカバーした。Night And Dayをサンプリング、この打ち込み感、最高!硬質なスネアの打音と独特のコーラスにゾクゾクする。振り返って久しぶりに原曲のビデオクリップを見たが、懐かしのケミカルウォッシュのシーンズに涙した(爆)。しかし、この曲を取り上げるセンスにも脱帽だわ。
レコーディング時期にマイケルが亡くなったことが重なったようです。久保田自身もマイケルはアイドルだっただけにショックを隠しきれなかったよう。そんなマイケルに敬意を込めて唱ったStar LightはDon’t Stop Til You Get Enoughにも似たナンバー。ファルセットまでも駆使してリスペクト。

上記3曲はわたしのベスト。それ以外にも定番バラッド(特にThe Other Halfは超スウィート!!)から挑戦的なKrevaとのコラボまで、内容充実です。
Shake It Paradiseからもう24年、今でも一線で活躍できるパーフォーマンス、凄いひとです。私的にはNeptune以来、こんなに感激したのは久々かも。

hiroo

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