Barrington Scott Henderson / Best Kept Secret
ソウルファンなら必ず聞いておかないといけないマスト盤。
今更ながらの説明は不要だが、Temptationsに在籍していたことで、すでに実力は折り紙付き。
Temptationsのawesome,Phoenix Risingの両アルバムは大好きなんだが、それぞれでも素晴らしい歌唱を惜しげもなく披露している。
Tempsといえば今尚、絶大の人気を博しているAli-Ollie Woodson がリードを誇っていた時代も好きだが、このBaringtonがリードの数枚も負けてはいません。しゃがれ気味なテナーからファルセットに移るセクシーさは、雄叫び型のAliより器用で感情移入も長けているような気がします。
このアルバム、既に5年は経っているが、まったく褪せない魅力があるのは、そのサウンドや旋律よりもBarringtonのソウルファンのツボを心得たボーカルパーフォンマンスによるものでしょう。
捨て曲は1曲めだけ。ミディアムの2曲目はテンプスライクなトラック、この時点で何かが違うと気持ちが高ぶります。そして圧巻の3曲目から怒濤のスロウ攻勢。抑え気味に始まるが後半には抑えきれない感情を剥き出しに。ファルセットを交え訴えかける”You Said Goodbye”、ストリングスの流麗なイントロから始まり、舞台でひとりで佇むような緊張感を醸し出す”Sorry”、グリッティなワウギターと柔らかなコーラスがクラシカルな”Precious Girl”、シタールの音色と優しいコーラスのサウンドを引き裂くようなシャウター”Baby It’s About U”、女性コーラスとの対比がスケールの大きいバラッド”Makin’ Love”とめくるめくBarringtonの魅力に引き込まれるの必至。
Gerald Albrightがブロウしまくる”Step Back”など、バックミュージシャンにも恵まれたナンバーが脇を固めます。
こんなにソウルファンを歓喜させるアルバムはそうはありません。