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Stephanie Mills ‎– Sweet Sensation

1980年、James Mtume & Reggie Lucasのプロデューサーチームによるアルバム、Stephanie Millsの4作目。

実質Mtumeのメンバーによるアルバムで、Howard KingやセッションミュージシャンHubert Eaves IIIも参加しています。

Mtume関連がお好きであればこのアルバムは当然マスト盤であり、80’s Soulの中でも名盤です。


彼女の声は私的にそんな好みではなく、特にシャウトが凄いとかソウルフルな側面は感じられないかな。

でもキュートな声でイザという時のハイトーンにはびっくりすることもあります。このアルバムでもナイススロウな”Still Mine”でのサビでは驚くテンションで歌い上げています。


そしてこのアルバムにはマドンナ”Borderline”の下地といわれている名曲”Never Knew Love Like This Before”があります。

この曲はミルズの米国で最も成功した曲となり、ビルボードポップシングルチャートで6位にピークに達しました。

最近ではこの2曲のマッシュアップも上げられていますね。曲間は似ていませんがイントロ、リズム感はうむ?同じ・・・と感じるものはあります。

Mtume関連はこのアルバムもしかり、またゆっくりと聞き直していきたいと思う今日この頃です。

Michael Wycoff – On The Line

Looking Up to You”ネタで使用されあまりにも有名なマイケル・ワイコフ。私もZhaneの”Hey Mr.D.J.“のスムースなトラックに虜になったもんです。

このアルバムはそんなにスムーストラックはないものの(決定的な1曲はあり!!)、バラエティに富んだモダンソウルアルバムとなっておりソウル・ファンには定番と知られていますね。ソウルを聴きだしてからすぐ購入したアルバムでした。

Gary Taylor作の”On The Line“がビシッと決まった80’sファンクで当時のGary Taylorがキレキレだったことを再確認させられます。自身のアルバムG.T.やCarl Anderson、忘れそうなバンドKiddo等でいい仕事をしています。

スロウ系はMichael Masser風なバラッド”There’s No Easy Way“がふんわりソウル度薄めで聴きやすいですね。作者はRichard Jon Smithでした。


そして前振りした決定的な1曲はこれ、B面1曲目の”Tell Me Love“です。

このカッコよさはなんなんでしょうね。リフレインするフックに取りつかれ沸々と奏でるベースラインに身を寄せるともうなんていう心地よさなんでしょう。

ニューヨーク・スタイルな素晴らしいナンバーです。この曲だけでこのアルバムを購入していただいても問題ありません。もちろん12インチでカットもされています。

Delegation – The Promise Of Love

Side 2の3曲目、Oh Honeyで超有名なソウルマスト盤Delegationの”The Promise Of Love”
1977年リリースのデビューアルバム。Ken Gold制作。
わたしがソウルに没頭する頃、大阪のレコ屋で買ったな。当時でも人気皿で安くはなかった。
どの価格が安い、高いってなるけど自分では2000円を超えたらチョイ高いっていう基準(笑)
どんだけセコいのかとなるけど、ソウルの定番を揃えるだけで相当な予算が必要なので定番に関しては極力安く買いたいもの。

メロウ・トラックのOh Honeyは年代と共に数多くネタづかいされているのでこのアルバムは人気皿となった。
I Wanna Be Yours / Trelliniの隠れネタづかいで女子R&B好きでなくても思い出してくれるはず。
このナンバーはキラーソングで中盤からRose Royceの”Ooh Boy”も使用されておりネタだけでもソウルファンの腰を浮かせてくれる。

私的にはこのナンバーのみが突出して全体の評価は他のDelegationのアルバムより総合的におちる。後のJocelyn Brown – Somebody Else’s Guy はパクったのでないかと思われる、シャッター越しの美女というデザインは部屋の飾りにもなります。

The Stylistics – (1971 Debut Album)

言わずもがなのスタイリスティックス(The Stylistics)のデビューアルバム。俺がソウルにはまってすぐに購入したアルバムだった。それまで90’s R&BもしくはブラコンをCDで購入し現行を追いかけていた。いつの日か当時営業職で得意先から直帰するタイミングでソウルバーに立ち寄ることが多くなっていた。

Soul Barで聴くソウルのアルバムの数々。R&Bとは違う、クラシカルな音は古臭いとは思わず、なんて芳醇な音の塊なんだろうと、そして美しいボーカルなんだって。雰囲気を楽しんでいたブラコンともスムースなグルーブに身を寄せたニュージャックとも全然違う。ソウルって深いな、掘り下げてみようっていうきっかけがこのアルバムだった。


すでにデルフォニックスで成功を収めていたトム・ベルが作詞家リンダ・クリードと作られたナンバーをフィラデルフィアのシグマサウンドスタジオで彼らが歌ったもの。もちろん売りはラッセル・トンプキンスJr.のファルセットだ。信じるかどうかは別だが5人組のグループながらラッセルのリードボーカルとメンバーのエアリオン・ラブのコーラスのみで録音されたという逸話がある。ということはあとの3人はステージ上でのパーフォーマンスだけ?となるが真実はわからない。またギャンブル・ハフ、バニー・シーグラーでコーラスをしてアルバムを作ったという話もある。違うメンツでアルバムを作ったてのはブラックミュージックでよくある話だが。どこまで本人達が関わったっていうのは当人しかわからない。

そのコーラスは別にしてやはりこのアルバムの凄さは美しく甘いラッセル・トンプキンスJrのリードと流麗なフィリーサウンドに尽きるだろう。

A1 Stop, Look, Listen (To You Heart)
A2 Point Of No Return
A3 Betcha By Golly, Wow
A4 Country Living
A5 You’re A Big Girl Now
B1 You Are Everything
B2 People Make The World Go Round
B3 Ebony Eyes
B4 If I Love You


1993年にR&Bクインテット、U-MyndによってカバーされたStop, Look, Listen (to Your Heart)は当時発狂するほど身の毛の立ったナンバーだった。原曲、鉄琴やホルンが散りばめられこんなの現代ではほぼ使わない楽器だ。そのナンバーにも似てはいるが刻むカッティングギターや悲しげなメロディに惹かれるBetcha by Golly, Wow、ダイアナロス&マーヴィンゲイや多くのアーティストにカバー、サンプリングされたYou Are Everything等、名曲の数々はファーストアルバムにして彼らの中で一番のアルバムと評価されているは当然か。70’sフィリーソウルを模倣したSilk Sonicの爆発的人気で音楽好きに再評価されているアルバムでもある。

Terry Huff and Special Delivery – The Lonely One

甘茶ソウル定番 Terry Huff and Special Delivery

ソウルファン感涙の名シンガーTerry Huff。1976年リリース、Al Johnsonプロデュースの”Terry Huff and Special Delivery – The Lonely One” 

リードシンガーTerry Huffはソウルファンにとっては特別な存在だというのは周知であろうか。

画像のように好きなので2枚買いだ(笑)

わたくしがソウルにかじりついてすぐに購入したアルバムであり、このアルバムそしてテリー・ハフの話題は仲間やソウルバーではいつも欠かせなかった。ナマズ髭やクラッシックギター、裏ジャケの写真にある寄り目の顔であったり、ビジュアル的にも相当インパクトがある。ネタであそこも立派な持ち主であるという下世話な話にも事欠かせなかった。


伝説のレコ屋 Ace Recordsでの常設コーナーに

大阪在住時、現在よりよくレコ堀に行っていた。東心斎橋にあった伝説のレコ屋「エースレコーズ」では「テリー・ハフ・コーナー」があって常時10枚以上ストックされていた。揺るぎない内容であるということをストック量や特別に設けられた棚割りだけで伝わってきた。残念ながらエースのおっさん(店主のことを友人とそう呼んでいた)はお亡くなりになり店も閉店したのであるが、このレコ屋との出会いはわたしのレコ堀り活動のいい思い出になった。

エースのおっさんとの出会いは最初、いい印象でなかった。俺は店で叱られたのだ。マナー違犯をしてしまった。

レコを掘るときストンストンと選ぶのはダメとディスクユニオンでも注意喚起してるが、それは当然しなかったものの、少し他のレコードに肘をつきながら掘っていたのだった。それを叱られた。ごめんなさいと謝りました。

オタクっぽい眼鏡をかけレジ前でボーっとしてるお姿は何か寄せ付けない感じ。ちょこちょこ買っても無言だし、嫌な客指定されたかな?って思った。

しかしある日、壁にかかっていたL.V. Johnson– We Belong Togetherのアルバムをレジに持っていった。(そこそこの値段であったが)

そこでレジ前のおっさんはいつものしかめっ面の顔とは別人になった。「君、ソウル好きなんだね~。よければこれからリスト郵送してあげるから住所知らせなよ。ありがとう。」その言葉を覚えている。なんだろう、販売者の立場なのに自分もソウルが好きで共感できるひととは心を打ち解けるんだって。面白い方だなって思った。

そんな堅物店主がいたレコ屋は今となってはいい思い出ではある。テリー・ハフ特別コーナーを設けたり、わけのわからんマニアしか知らないLPを壁に飾ったり、はたまた客に目を光らし怒鳴ったりする希有な店もいまは少なくなりほんとにレコードブームとはいえ寂しい現代ではある。


脱線したがこのアルバムはもう聴いてもらうしかない。甘さが漂うファルセットとは違って俺的には泣きのファルセットであり、スウィートソウルという概念をぶち破る声を持っていると。

脱退した後のSpecial Deliveryもナイスなアルバムを2枚リリースしており、こちらはスウィートソウルの定番アルバムである。2枚ともアンダー2,000円で購入できるかと。自身は謎のグループKLASで歌っているという説、それから82年にCome On Around / I Wish ‎というシングルをリリースしている。

前述のおかしなビジュアルやテリー・ハフを取り上げていたレコ屋やソウルバーの存在、本当に全包囲網で愛されたアルバムであり、これからもわたしのコレクションで鎮座続け、聴き続けるだろう。