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Boyz II Men – Full Circle

Sam Salterのお蔵入り盤”The Little Black Book”のColor Of Love (The Color Of Loveにタイトル変更)がBoyz II Menによって歌いなおされたというのはR&B好きならご存知かと。

今回はそのColor Of Loveが入ったFull Circle。LA Reidがエグゼクティブプロデューサー。

このアルバムはモータウン・レコードを離れ、アリスタから発売となった。そしてベース・パートのマイケル・マッカリー最後のボーイズIIメンのアルバム。

前作までのスタジオアルバムがことごとくゴールドもしくはプラチナを取ったのだが、このアルバムはUS総合10位、R&Bチャート5位までの結果となった。売上とは反して従来のR&Bファンには高評価だったような記憶がある。


残念ながらこのアルバム以降は失速してしまう。なにげにといったら語弊があるけどバリトン担当のマイケル・マッカリーの存在は大きいと思う。コーラスグループの定石といえばファルセット、バリトン等それぞれのパートの役割は大きい。このアルバムは以降は病気の問題で脱退するがだからといってバリトン担当を新しく迎えているわけでもない。マンハッタンズでいえばブルーラヴェット不在の状態。この体制はきつい。


ヒップホップやファンク要素を取り入れているが彼らがやるとどれも本格的なものではなく、ソフィスティケイトされたものになっている。フェイスエバンスを迎えての1曲目Relax Your Mindは最たるナンバーでいつの時代にも輝くライトファンク。DeBargeネタだからよけいにいい。それもいいけど魅力的なのはクラシカルなコーラスが際立つナンバーかな。8曲目Right On Timeではこれぞモータウン出身といったタイムレスなナンバーを届けてくれる。プラス、元々彼らを育てといっても過言でもないジャム&ルイスとの相性の良さ。That’s Why I Love Youは特に好きで私的にはマストナンバー。この曲でも低く唸るマイケルの存在は大きい。

彼らの良さを熟知したLA Reidが総合的にうまく調理したといっていいかな。見過ごしがちなボーイズIIメンのアルバムだが俺は大好きだ。

Kenny Lattimore – Weekend

いつのまにやらあと半月で今年も終わり。早かったですね~

いろいろありましたが、振り返るのは来年にします。最近、ストレスでお酒の量が増え気味(-_-;)

甲類焼酎は身体に悪いっていう話をよく聴くのですが本当ですか?(笑)

Kenny Lattimore - 順調な新作リリース

さてKenny Lattimoreの新譜”Here To Say”が発表されましたね。俺の大好きなアルバムAnatomy Of A Love Songから順調にキャリアを積んでいると思います。厳密にいえば2012年に彼自身のレーベル、Sincere Soul Recordsを設立した時からです。このアルバム以前の実績もありますが自分の方向性というか誰もマネのできないR&Bの美学を見出したのかなと。抽象的ですがAnatomy Of A Love SongのLove Me Backの雰囲気はクラシカルなのに独創的。そんな70年代のようであり現代しか生まれないというナンバーが前作Vulnerableにもあり、自分のスタイルを完璧に捉えたと思います。新譜はまだ到着していなのでわかりませんが(着いたらレヴューします)ブレてないような感じです。

3rd アルバムでの飛躍

今日は過去作品Weekend。日本盤もありけっこう売れた?印象のあるアルバムです。

2001年のWeekendは3rdアルバムで2ndの内省的なラティモアらしいソウルアルバムから一転、アリスタというメジャーからで非常にモダンに切り替えたものでした。これはある意味、方向性がまったく違うAnatomy Of A Love Song前の打ち上げ花火的なアルバムでした。Koffee BrownのAfter PartyやNextのToo Close等のKay Gee作品に肩を並べるスムース・ダンサー”Weekend”を初めて聴いたときにはKenny Lattimoreがここまで変わるのか!と。

このナンバー自身は好きでしたが他のTroy Taylor作品は俺にはモダン過ぎて食いつことができなかったイメージがありました。Troy Taylorが駄目でいうわけでないのだけど、安心して聴ける少し過去のテイストは欲しいので。その中でも3曲目のRaphael Saadiq作Come To Meと8曲目のBabyface作Right Down To Itは従来のKenny Lattimoreが好きであればしっくりくるナンバーでありました。90’sR&B正統派バイブです。

ところどころ、さすが!というナンバーがあるのですがやはり他人に制作を委ね過ぎたのか今とは違い統一感がないような気がします。しかし、シングルヒットのWeekendや安定のBabyfaceやDaryl Simmonsがらみのナンバーがあるだけで聴き逃し厳禁であることには間違いありません。

After 7 – Unfinished Business

もはや滅多に新譜CDを買わなくなった昨今。確かに好きなR&Bがリリースされないってのもありますが、なんとメディア主義のわたしもとうとうサブスクでよい?て傾向に侵されそうな日々であります。駄目ですね…

今年はSilk Sonicがリリースされたら買うぞ~って息巻いていましたが、楽しみは延期、来年リリースとなりました。そんな中で嬉しい往年のR&Bグループが5年ぶりの新譜リリースというニュース。そうAfter 7・・・嬉しい新譜CDの到着です。レーベルから直買いしたのでサイン付きです。鑑定しましたが本物でした(笑

もはや伝説の90年代ボーカルグループのAfter 7(アフター7)

2019年に亡くなったメルヴィンエドモンズから最初のプロジェクト、Unfinished Businessが発売されました。アフター7はメルヴィンが体調を崩してから息子ジェイソンが加わり前作の”TIMELESS”では4人体制でした。メルヴィンが亡くなりその後ジェイソンが脱退、新たにDaniel SkyHigh McClain ( Danny McClain )が加入しこの新しいアルバムをリリースすることになります

新たな意気込み

フロントマン、ケヴォンはこのアルバムについてこう語っています。

「私たちを知っているファンや知らないファンでさえも、私たちの音楽を探求し、共有することがまだまだあると感じたという事実をアルバムにしたんだ。」

より高みのグループにしていこうと。そしてあえて未熟なジェイソンから実力のあるダニーにメンバー変更したのには意義があります。

ブルックリンで生まれケンブリッジで幼少期を過ごしたダニー。お父さんはオルガン奏者で彼にピアノを教えたそう。成人になる前に教会でゴスペルを唄い沢山のR&B、ブラコンを聴いて育ったようです。

ダニエルのソロ時代、音源は結構残っています。確かに唄える…

ケヴォンはダニーのことをこう語っています

「ダニーは独自のサウンド、テクスチャー、トーンを持っています。私たちが求めていた音に同化して近づく彼の能力。誰もがテーブルに何か違うものを持ってきますが、ダニーはぴったりであることがわかりました。それは、私たちが彼に何を学ぶ必要があるのか​​、そして私たちが彼にどのように提供してほしいのかを学び、オープンになりたいという飢え、情熱、そして意欲と大きく関係していると思います。ダニーは、このブレンドを得るのに何が必要かを知りたがっていました。私の声とキースの声は、アフター7のサウンドの非常に重要な部分です。キースは暖かさをもたらし、ダニーもその能力を持っています。人々はダニーのボーカルが私のものに似ていると思いますが、彼はいくつかの異なる方法でいくことができます。」

まだまだ数回しかアルバムを聴いていませんが確かにダニーの声はケヴォンに似ています。テナーではありますが甘さだけでなくケヴォンより男性的に表現できるボーカルワークを持ち備えています。

キースの安定したコーラス、ケヴォンの甘いハイテナー&ファルセット、そしてダニーはリードをも取れる表現力豊かなテナー、この3人の見事なハーモニーはアフター7のアイデンティティーを崩さず前進できる姿です。メルヴィンを偲び称えつつもグループを存続していくんだという3人、わたしはこの新アフター7の意気込みに感動しました。

鉄壁なプロダクション

このアルバムの制作陣ですがDamon Thomas (from The Underdogs) が中心のようです。そしてStokley Williams (from Mint Condition)の名も。

1曲 Babyfaceが素晴らしいナンバーを共同プロデュースしています。流石と唸りました。3曲目”Tomorrow Can’t Wait”です。やはりアフター7=Babyface (ベイビーフェイス)といった関係は崩しようがないでしょう。

先行シングルのExtra Mileを初めて聴いたときには、これは違う。。。と思ったものですがアルバムの冒頭に収まったら不思議なことにスムースなアッパーだと魅力的に感じました。そして先ほどのTomorrow Can’t Wait、7曲目にはこのアルバムで一番好きになったといっても過言ではない”Made A Man Of Me”というナンバーが。甘いコーラスをベースにケヴォンとダニーが交互にリードを取り合い、またファルセットを駆使しながら起伏のある感情表現に圧倒されます。これぞアフター7 !!と叫んでしまいました。

アルバムの完成度は半端ないと思います。どの曲も完璧です。捨て曲などありません。最初から最後までしっぽり、どっぷり魅了されながら甘いアフター7の世界に浸れること間違いありません。

今年は晩夏も短く少し早目の秋めいた9月が訪れました。秋に夜長に切なく胸に響くアルバムになるのではないでしょうか。

Pebbles – Love Make Things Happen ft. Babyface

Pebbles-Alwaysのアルバムは90年リリースの2枚目。87年の1stアルバムから3年後のリリースでした。
このアルバムはBabyfaceとL.A. Reid(Deele→LaFace→アリスタ・デフジャムのA&R)の共作でBabyfaceファンなら飛びついたもんでしょうけど、オレ的にはブラックしか受け付けない身体になっていた為(笑、当時はすぐ購入しなかったのです。ポップフィールドに寄りがちなBabyfaceの商業姿勢はシーナイーストンにしろコアなブラックミュージックファンには食傷気味になるんだなっていう穿った見方をしていました。でも1曲だけ気になるナンバーがありました・・・

少しばかり時が経ち、91年にBabyfaceのA Closer Lookが発売されました。

それまでの作品のリミックス集です。そこに気になっていたナンバー”Love Make Things Happen”が。ちょっとオリジナルと歌の出だしが違います。コーラスから始まるインパクトのあるリミックスでした。そしてちゃんと聴けばPebblesのナンバーなのにBabyfaceがめちゃくちゃ歌っているではありませんか。自分のナンバーのように。
楽曲もTender Loverに収められているスロウのようで音数が少ないのに煌くようなシンセが印象的でグッと好きになりました。
歌詞はよくわからないですが、「二人の子供といい妻がいる旦那を深い呪文を唱えながら愛に変えてあげるわ」っていう猛烈な略奪愛の歌詞ではなかったでしょうか(知らんけど笑)

逆になりましたがプロモーションビデオも後で見るようになり、スーツやレザージャケットを羽織りクールに歌う姿に、どこかPebblesのパートより自分が半分歌いたいのでこうしたよてな意思があるナンバーに聴こえたのが回想録です。

ご存知のとおりPebblesの前夫はL.A Reidです。

Sam Salter -It’s on tonight / the little black book

久しぶりにLaFace関連が聴きたくになり棚から取り出したSam Salter。1997年の1stアルバム”It’s on tonight”は発売時よく聴いた。自分自身がLaFaceというレーベルの響きに弱いwというのもあったし、固定概念で間違いないという妙な安心感が先立ったのもあるが、本当に味わい深いナンバーばかりだった。LaFace = Babyfaceはセンシティブなイメージがあって、Sam Salterはずばりそれだった。

The Braxtons,Front Page,Blackgirlなどを手がけたTricky StewartそしてJesse Powell ‎– All I NeedやK-Ci & JoJo-Last Night’s LetterなどR&Bの重要作を生み出したLaney Stewartによる作品。まあ兄弟で作ったものなのかな。エグゼクティブプロデューサーの名にBabyfaceとあるが、おそらく何も関わっていないであろうw 自身のレーベルのアーティストなのでコーディネーターという役割なんだろうね。

飛びぬけてエモーショナルというわけではないが、切なく繊細な喉はゆっくりと流れる旋律に麗しくなぞる。ラストナンバーがKool & The Gangネタのリミックスでフロア用になっていて面白い。

Sam Salterの作品は実質この一枚。2000年にLittle Black Bookの発売が予定されていたがなぜかレーベル内で問題がありシングルOnce My Sh..が発売されたもののお蔵入りになったようです。

そのアルバムに予定されていたBabyfaceの作品Color Of Loveは後にBoyz II Menが歌うことになりました。タイトルはThe Color Of Loveに変わりましたが。Boyz II Menのナンバーより元々歌ったSam Salterのほうが好きです。楽曲に相当合っています。このアルバムにはもう1曲、ナイスなスロウ”Money Can’t Of Love”も聞き逃せません。

幻となったこのアルバムですがなぜか音源がネットに上げられ、後にブート盤が出回ることに。さすがブート屋さん、精巧に作成されておりプレス盤となっていますw