Toshiki Kadomatsu / T’s 12 Inches
角松敏生の12インチを集めた企画盤。
わたしは未だ未だ奥深いところまで知らない、80年代のみの角松ファンなので、この1枚だけでもお腹一杯になる。
なにせ日本人で当時、こんなにダンサンブルで黒い音を求めていたひとはいないのだろう。山下達郎がやるソウルとはまた違う。角松敏生の初期はどこまでもニューヨークを踏襲、そしてアダルトに都会的に仕立てた楽曲で満載だった。
「初恋」はMarcus Millerがベース、Yogi HortonがドラムというLuther御用達のスタジオミュージシャンを起用、そして吉田美奈子をコーラスに迎えた、贅沢極まりない布陣。
かっこ良すぎるのである。現代でそこまでこだわるオタクなひといないし。
「初恋」以外にもTawathaを迎えた”Lucky Lady Feel So Good”、Ray Chewがキーボードを弾き、Jeff Bovaがシンセを操る”Girl In The Box”など、ありえない一流のミュージシャンを引き連れた。原曲よりフロア向きにアレンジメントされた長尺バージョンばかりでウキウキする(笑)
忘れてはならなのが、日本の頂点と言われたベーシスト「青木智仁」がしっかりと仕事をするナンバーが後半にあるということだ。
もうこのような音楽を排出してくれないのだろうか。「こだわり」を追い求めた角松敏生をもう一度聞いてみたい。