Kenny Lattimore – Here To Stay

Kenny Lattimore ★ 10枚目のアルバムリリース

新年あけましておめでとうございます。皆さま、新年はいかがお過ごしでしょうか。

こちらは年末より早め正月を楽しみ(笑)、既に三が日2度目のような普段の生活を考えれば天国のような日です。いいもの食べて昼から飲んで、好きな時に起きて音楽を聴く。ずっとこうしていたい・・・

昨年は好きなアーティストのアルバムリリースが続き嬉しかったです。特にAfter 7!! 、最高でした。Babyfaceの兄弟というだけでポジションがワンランク上がり聴く前の期待も上がるのは当然なのですが、メンバーが変わったというのにとてつもないポテンシャル、まだまだ王道R&Bを引っ張ってくれそうです。

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そんな往年のR&Bシーンを牽引したひとり、Kenny Lattimoreが4年ぶりに新譜”Here To Stay”をリリース。前の記事に書き留めたとおり2015年のAnatomy of a Love Songから路線を着実に我が道押しに変更。現行シーンを上手く取り入れながらも潜在的に追いかけている私たちのようなファンに王道R&Bを届けてくれる、絶妙なバランス感覚で制作が続いています。4年前のVulnerableで完全に確立されたと思います。

そこには重要な彼の制作ブレーン、Anatomy of a Love Songから関係が続いている秘蔵っ子プロデューサー、Dra-kkar Wesleyの存在が大きいと思います。現代の感覚と80～90年代のクラッシックな要素を融合した楽曲、そこにKennyの滑らかで奥深いハイテナーの喉を組み合わせ、絶妙なR&Bを届けてくれています。

新譜を作り続けることは困難な時代になっていると思います。そこにはビジネスが絡んでいるからです。アーティストの思惑を現実化しビジネスにしていき継続させる、そうアーティストの創造性を見出して具現化してくれるブレーンがいないと進まないような気がします。ちょうどKenny Lattimoreには再婚や自分自身のレーベル立ち上げ等転機があったのでしょう。そこからパートナーを筆頭にいい仲間に巡り合えたのだと思います。

王道があるからこそ他が冴える・・・Daryl Simmonsの1曲

このアルバムには2曲目にLa FaceのDaryl Simmons制作のナンバー”Never Knew”があります。タイムレスなナンバーでどこを切り取ってもデビュー時から変わらないKenny Lattimoreの様式美を聴くことができます。正直、このナンバーが一番好きと言ってしまいそうな自分があります。やはり90年代初期にLa Faceサウンドにどっぷりハマったから仕方ないですよね。

続くOnly Girlも変哲のないといったら叱られますが、安定の1曲。どこかで聞いたよね？と思わせる哀愁のフック、コーラスはリリカルなフレーズが続き、これまた正直、タイムレスなR&B・・・美しいです。

後半の独自な世界感に震える

この2曲ですっかりこのアルバムを買って良かった～と感激する時間は束の間、まだまだ続きます。Maxwellのナンバーを思い起こさせるような浮遊するファルセットで一撃させるAll In。これに似たアプローチのLose Youと感傷的なナンバーは凍りつくような森に少し太陽が隙間から見え隠れする、このシーズンに合う深いR&B。こういうところMaxwellやKenny Lattimoreしかできないのではないかな。

あらたなKenny Lattimoreを感じさせる序章的なその2曲に続き”Take A Dose”、そしてシングルカットされた”Pressure”とボーカルワークには驚きました。ありえない程伸びやかなテナーからファルセットへの切り替え、そして時折押しのある叫び、楽曲の独自性も含め前作から続く自分自身の表現するにはこれなんだと強いメッセージのようなナンバーです。ラスト”Survive”ではメロウなキーボードオンリーの旋律に終始ファルセットで唄い続け、フックではストリングスを挟む名曲。このナンバー、広く真っ暗な劇場でひとりスポットを浴びたKennyを思い浮かべながら聴きました。

たった10曲ながら強烈なインパクトを残すアルバムです。

↓　レーベルからCDを購入したら直筆サイン付きのポストカードが入っています。早速、テーブルに飾りました(笑)